2010年明けましておめでとうございます。



空から舞い降りる雪のなんと美しいことでしょう。シカゴ周辺は、街も、野も、すべてが真っ白におおいつくされています。ひらひらと乱舞する雪片をみつめて佇んでいると、いろいろな思い出が走馬灯のように浮かんでは走りぬけます。

 オーストラリアからの日本語放送が再開されて3年半、「アンデスの声」時代から通算すれば46年半が過ぎました。その半生はあらゆる出来事の積み重ねと連鎖で成り立っていたようです。ふりかえると、めまぐるしい変化の歩みのなかで直面した転機にはかならず一つの出会いがありました。それは、友人、書物、自然現象、映画、音楽など偶然ともいえる「他者との出合い」で、わたしの運命はそれらの連続だったといえます。わたしたち自身、こうした予想外の一つの出会いの背後には、常に神との出会いがあったことを強く感じさせられています。

 迎えた新しい年には何が起こるのでしょうか。めくられる明日というページはどのように埋められるのでしょう。それはだれにもわかりません。それだけに不安ですが、未知の未来に対しては、ともかくすべて受けとめようとする勇気と覚悟を持つことです。それさえあれば、どこかで、だれかと出会うことを期待し、「他者とのふれあい」を生かし、みずから内的成長を楽しながら、豊かな人生を過ごすことができます。それは、具体的なひとりびとりとの出会いの背後では、常に、その出会いを通して私たちの人生を導こうと願っておられる愛の神ご自身が立っておられるからです。

 昨今、国内では政治、経済、社会あらゆる分野で問題が山積みです。国際的にも争いの絶えない剣呑な情勢がつづきます。グローバルとよばれる時代にあってわたしたちは、この世のあらゆる悪、不正、苦悩を、自分と分つことのできないものと感じる大人の罪意識をもつことが大切です。そのプロセスで、人間の原罪の実体から目をそらすことなく自分の影の部分をも含めた自己全体を受け入れることが、社会性のある、責任ある人格へと成長していく道なのです。

 シカゴでは、これから冬を乗り越えなくてなりません。春、夏、秋にくらべて、ずっと長い間、雪の冷たさに耐えなくてはなりません。しかし、天からふりそそぐ雪が、地のすべてのものを覆ってくれます。これは、とるに足りない、小さな自分でも、ありのまま包みこんでくれる神の恵みだとは言えないでしょうか。「たといあなたがたの罪は緋のようであっても,雪のように白くなる」と聖書は約束してくれています。そして、季節がめぐりまた春がくると、そこには、秘められた充実した喜びと希望がわたしたちを待っているに違いありません。

 この年が、皆様にとって、さらに人格の成長と真の成熟に導かれる「出会い」を経験する幸いな年となるように、冬構えのシカゴからお祈りしています。


2010年元旦 HCJB日本語放送担当 尾崎一夫


放送予定:
1月2日(土)新春対談:BCL同級生ビッグ対談(岩沙一彦/宮地広光)
1月3日(日)新春特集:『マッチ箱いっぱいの幸せ』ラジオ日本海外番組コンクール受賞作品